大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(行ケ)256号 判決

(争いのない事実)

一 請求の原因一(本件に関する特許庁における手続の経緯)、二(本件審決理由の要点)及び三(訂正審決の経緯)の事実は、原告と被告トモフジとの間においては争いがなく、また、原告と被告寿工芸株式会社との間において、同一及び二の事実は争いがなく、同三の事実は同被告の明らかに争わないところであり、更に、被告株式会社サンスイは、適式の呼出を受けながら、本件準備手続期日及び口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面をも提出しないから、同一ないし三の事実は同被告において自白したものとみなすべきである。

(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件訂正審決の確定により、本件考案の要旨を訂正前の実用新案登録請求の範囲の記載に基づいて認定した本件審決は、結果的に本件考案の要旨の認定を誤り、右誤つた要旨を前提として第一引用例ないし第三引用例記載の考案との対比判断を行い、その結果、本件考案は、右各引用例記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものとの誤つた結論を導いたものである旨主張し、被告トモフジを除く被告らは、原告の右取消事由を明らかに争わないが、本件は訴訟の目的が共同訴訟人の全員に対し合一に確定することを要する類似必要的共同訴訟と解すべきであるから、共同被告トモフジが原告の右違法事由を争う以上、同被告らの右自白は効力を生じないものというべきである。よつて、原告主張の右違法事由について審案するに、以下に説示するとおり、原告の右主張は、理由があるものというべきである。すなわち、

前記当事者間に争いがないか、又は被告らの明らかに争わない事実によると、本件審決は、本件考案の要旨を訂正前の実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりと認定したうえ本件考案をもつて第一引用例ないし第三引用例記載の考案に基づいて当業者が極めて容易に考案をすることができたものである旨判断しているところ、その後本件訂正審決が確定し、これにより、本件考案の明細書の実用新案登録請求の範囲が原告主張のとおりに減縮訂正されたことは明らかであるから、本件考案の要旨は、実用新案法第四一条において準用する特許法第一二八条の規定に基づき、本件考案の実用新案登録出願当初から右訂正された実用新案登録請求の範囲に記載されたとおりのものであつたものとみなされる。してみれば、本件審決は、本件訂正審決の確定により審判の対象に変更があつたのにこれを看過し、本件考案の要旨の認定を誤り、その結果、訂正された本件考案が実用新案法第三条第二項所定の要件に該当するか否かについて全く判断を示さなかつたことに帰し、右判断の遺脱が本件審決を違法ならしめることは明らかというべきであり、したがつて、本件審決は、この点において違法として取消しを免れない。被告トモフジは、本件訂正審決による各訂正は、本件訂正審決が判断するとおり、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものとは認められず、ただ、本件考案の構成に対応する効果をより明らかにしたものであるにすぎず、いずれも明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、訂正前の実用新案登録請求の範囲に対する無効理由は、そのまま訂正後の実用新案登録請求の範囲についても適用されるべきものであつて、本件考案に進歩性がないことは明らかである旨主張する。なるほど、原告と被告トモフジとの間において成立に争いがなく、これにより他の被告らの関係においても成立の認められる甲第二一号証(本件訂正審決謄本)によれば、本件審決中には、訂正審判の請求人(原告)が求めた各訂正は実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し又は変更するものとは認められない旨の判断がなされていることを認めることができるけれども、同号証中の前後の認定判断を総合すると、右判断は、訂正審判の請求が実用新案法第三九条第二項所定の要件を満たしていることを判断したにとどまり、訂正の前後において本件考案の要旨に変わりがないことを判断したものでないことは明らかであり、本件訂正審決による訂正が、本件考案の実用新案登録請求の範囲の減縮を包含するものであることは、前認定説示のとおりであるから、同被告の右主張は、その前提において失当であり、採用することができない。また、同被告は、本件訂正審決による本件考案の明細書の訂正内容は、本件審決の判断に何ら影響を与えるものではない旨るる主張するが、本件審決が前説示の理由により違法であることはその説示のとおりであるから、同被告の右主張も、採用の限りでない。

(結語)

三 叙上のとおりであるから、本件審決を違法としてその取消しを求める原告の本訴請求は、理由があるから、これを認容することとする。

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